人材育成

公文書等の適正管理は,現代の行政運営に求められる高い行政効率,上質な政策形成,アカウンタビリティの証拠保全などの確保のために不可欠の条件です。我が国の公務組織では,伝統的に文書管理業務が評価されず,そのことが,結果的に多くの不祥事を生む原因となってきました。公文書管理法の成立は,このような我が国の行政文化を転換する契機となるものと期待されますが,行政機関の多くの職員は,適正な公文書管理に必要な知識やスキルを持ち合わせていないのが現状です。このこともあって,公文書管理の専門職員の育成と資格制度の確立について,法案審議の際に次のような付帯決議がなされました。
 
「公文書の適正な管理が,国民主権の観点から極めて重要であることにかんがみ,職員の公文書管理に関する意識改革及び能力向上のための研修並びに専門職員の育成を計画的に実施するとともに,専門職員の資格制度の確立について検討を行うこと。」(公文管等の関する法律案に対する付帯決議13 参議院内閣委員会)
 
NPO法人行政文書管理改善機構(以下,単にADMiC)は,行政機関の公文書管理改善を支援する活動を続ける中で,教育研修分野にも力を注いでいます。2002年度からは駿河台大学と協力して大学院に現職社会人を対象とした行政文書管理コースを開設し,行政文書管理に関する高度専門職業人として,既に20数名の修士を送り出しています。また,ADMiCは,2007年度からは駿河台大学文化情報学研究所と連携して行政文書管理アカデミーを開設し,1年間に108時間の講義と演習を現職公務員が受講可能のように,インターネットと集中授業により行い,毎年20人程度を送り出しています。
 
しかし,これらの試みで育成可能な人員は公務組織全体から見れば,微々たるものにとどまります。そこで,行政機関の職員に,適正な公文書管理に必要な知識やスキルを,より広く,より容易に普及する目的で,公文書管理士認定試験が構想されました。また,公文書管理法への関心を喚起し,文書管理の専門性に関する認識を深め,文書管理の改善に現場からの知恵と提言を広く集める契機を生み出す目的で,文書管理を主題とする論文募集事業も2010年にADMiC賞懸賞論文として開始しました。第1回のADMiC賞は1等30万円1名,2等20万円3名を入選とし,2010年9月9日に日本記者クラブ(日本プレスセンター10階)大ホールで表彰式を行いました。
主催・講師派遣研修 人材育成 改善支援と指導 研究開発
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