維持管理の必要性・重要性

Q3:維持管理に要する経費は,どのようなものがありますか。

維持管理に係る経費としては,備品購入費,消耗品購入費,コンサルタント委託料などが考えられます。

1. 備品購入費

「AKF」の維持管理における備品には,キャビネットなどの収納容器があります。この購入に当たっては,統一規格の設定をする必要があります。いろいろなタイプのキャビネットが混在していては,全庁的な統一がとれず,維持管理も難しくなってしまうからです。

備品の購入は,文書主管課が必要と認めた場合にのみできるようにします。保管庫を減らしてキャビネットを補充したり,機構改革や事業の増加などで追加したり,いずれも文書主管課の判断で行います。

なお,これに伴う予算は,できるだけ文書主管課が一括して取るようにしますが,各課の予算にする場合にも,購入については文書主管課の権限として残しておきます。

2. 消耗品購入費

消耗品の購入には,個別フォルダ・フォルダラベル・ガイド・ガイドラベル・文書保存箱などがありますが,規格を統一し文書主管課で集中手配をします。

個別フォルダは,文書の廃棄の際にフォルダの中身だけを抜いて文書を廃棄するようにすれば,再利用ができます。傷みの激しいフォルダは除くとしても,ある自治体では,年度当初に各課の配布する個別フォルダの約半分は,再利用のフォルダを使い,新しいフォルダラベルを重ねてはって使うようにしています。

ガイドは,移替え・引継ぎの際に,そのままキャビネット内に残りますので,不足分を補う程度で足ります。

3. コンサルタント委託料

維持管理にコンサルタントの指導を受ける場合には,委託料を確保する必要があります。コンサルタントに委託する場合は,単年度だけではなく,ある程度継続した期間の指導を受けた方が効果を上げやすいので,数年後の見通しを立てて,計画的に予算を考えます。システムが定着するまでには,導入後10年間は維持管理を継続する必要があるといわれています。そして,導入後5年間ぐらいが特に大切です。システムを山登りに例えるなら,導入後の5年間は,「急な坂道」を登らなくてはならないようですが,その後は「穏やかな坂」になります。

したがって,コンサルタントの活用は,最短でも「急な坂道」の5年間は,継続して活用するのが得策です。コンサルタント委託料については,導入より難しい維持管理を続けるための必要経費だと考え,導入当初から視野に収めておきましょう。委託する内容は,巡回実地点検指導が中心となりますが,その他各種研修などに係る部分もあります。

維持管理に係る費用は,このようなものですが,全庁的にみれば限られた種類の容器・用具を一括して購入しますので,無駄が少なく,導入前に比較して経費がかさむようなことにはなりません。

なお,維持管理を怠ってしまうと,すぐに文書の私物化が始まり,必要な文書を探すのに苦労したり,時間が掛かるようになったりして,システムを導入した意味が全くなくなってしまうことは維持管理の必要性と,定着するまでの期間について説明してくださいで述べたとおりです。

そこでADMiCによる標準的な方法では,2年ほどかけて導入を完了した後,外部コンサルタントによる年数回の維持管理の研修と執務現場での実地指導を行い,徐々に庁内文書管理専門職を育成して,自主管理に移行していきます。この庁内文書管理専門職は,自主管理への移行後,職員の研修計画をつくり,自ら内部講師を担当するなど,文書主管課や文書管理委員会と協働して維持管理に努めることになります。

庁内文書管理専門職の育成には,個別の研修のほか,専門の研修機関である行政文書管理アカデミーに委託する方法もあります。行政文書管理アカデミーは「AKF」の理論と実務を学べる唯一の研修機関です。平成23年度には五期生を迎え,今年度「AKF」を導入している自治体は,いずれもアカデミーに職員を派遣しています。

こうした研修機関への派遣を,たとえば,毎年2人×5年間=10人と続けていき,庁内文書管理専門職の育成が進めば,いずれ,内部講師で職員研修を充実させることが可能になるでしょう。これを10年がかりで完成させるのです。

ところで,公文書管理法第32条は導入時の研修だけを想定しているように読めますが,維持管理を考えると,一定期間をおいて繰り返し研修を行う必要があります。システムそのものも少しずつ進化するものなので,初任時あるいは新任の際の研修だけでは十分とはいえません。

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