キャビネットの使い方

Q1:対象文書別のキャビネットの使い方について説明してください。

キャビネットに収める文書,収められない文書

ファイリングシステムで対象とするのは,理論的には,すべての文書ということになります。しかし,実務的には,文書の中にもキャビネットに収納するのに適しているものとそうでないものとがあります。こうしたことから,ファイリングシステムを導入している自治体のほとんどは,原則的に文書をフォルダに入れることとし,例外的に簿冊を併用しています。むろん,フォルダに入れた文書は,すべてキャビネットに収納します。ファイリングシステムを導入中に発生する文書も,個別フォルダに入れてキャビネットに収めます。

また,個別フォルダに入れると支障がある文書や,その量が多くしかも分冊できない文書は,別に保管します。このキャビネット以外で保管する文書は,「所在カード」(○○は何番保管庫の何段目で収納管理していると書いたA4判の白色以外の用紙)の入った個別フォルダをキャビネットに入れて管理し,ファイリングシステムの対象とします。所在カードで管理する文書の典型的なものとしては,コンピュータ帳票,ぶ厚い設計図書完成図書などがあります。

図面,帳票類の扱い

図面,帳票類は,そのサイズや量に応じて,適切な専用のファイル容器用具を選んで管理します。ファイリングシステムの対象から除外されたと考えるより,次のように考えるとよいでしょう。本来どんなに厚い簿冊になった文書でも,どんなに大きい図面でもフォルダに入れて,キャビネット内に収納するのが建前なのです。しかし,それでは,かえってキャビネットの使い勝手が悪くなり,物理的にも不可能なので,「所在カード」を使ってフォルダから分出させます。そして,同じような扱いをする文書を1か所に集めて「母家であるキャビネット」ではなく,「離れである保管庫」に入れます。と,このように考える訳です。母家にあるフォルダから,離れにある設計図書本体を探し出すことができ,離れにある設計図書本体の身代りである所在カードは必ずフォルダに入っており,キャビネット内に存在することになります。

導入前の保存文書

キャビネットに収納する文書は,原則として,現年度と前年度の2年分です。残りの導入前の古い文書は,「導入前ファイル基準表」に簿冊名等を記載して文書主管課に引き継ぎ,文書庫に保存します。

この導入前ファイル基準表には,これまでの簿冊の名称のままを記載します。ただ,ファイリングシステム導入後の文書のように細かく分類されていない状態で,文書名に○○関係綴りなどとしていることが多いと思います。基準表の内容説明欄へ簿冊の中身について,補足説明をしておかないとその後の文書検索の際に苦労することになります。

税金や保険,年金などその課特有の文書

国民健康保険のレセプトに代表されるような個人単位で大量の文書がある場合には,ファイリングシステムにおける基本的なルール,例えば背の高い保管庫に入れない,などが守られれば,これまでと同じ保管庫又は一部手直ししてファイリングキャビネットとは別の場所で保管してよいでしょう。これらの文書の中には,既にフォルダで管理しているものもあるかと思いますが,専用のキャビネットを使用していれば,あえてそれまで変える必要はありません。

書籍類

自治体の例規集,法令集,参考図書などの書籍類は,できるだけ1か所に集めてしまいます。適当な場所があれば,部全体で参考図書を使う方法も検討します。同じ書籍が数冊ある場合には,減らすことができないか検討しましょう。例規集も必要以上に置いておくことは避けます。年度版の書籍は,古い年度のものを廃棄します。加除式の書籍は,引き続いて加除を続けるか,あるいは部全体やいくつかの課で共同で使えないか,などを検討します。

なお,加除待ちの印刷物は,置き場を決め,その旨を表示しておきます。課で管理する場合には,書籍の見直しをした後,カウンターの下の棚や保管庫に入れますが,戸付きの保管庫の場合,使いやすくするように戸をはずした方がよいと思います。ただし,人の目に触れない方がよい書籍,例えば積算資料などは戸付きの保管庫に入れます。また,保管庫やカウンターの下の棚に入れる場合には,どんな書籍が置いてあるのか表示を棚の前面と保管庫の引き戸にします。

ファイリングシステム導入中に発生した進行中の文書

ファイリングシステム導入中でも,日々,文書は発生します。その文書は,何らかの処理が完了するまでの間は,やりかけフォルダや処理中であることを明記した個別フォルダの中にあったり,何らかの決裁を受けるために動いていたりします。文書の決裁が完了し,その案件について処理が完了した時点で,処理中であることを削除したフォルダに入れたり,新たにフォルダを作ったりするとよいでしょう。

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