導入準備のための文書主管課の役割

Q2:導入前の書庫の整理は,どのようにすればよいですか。

導入時には事務室から大量の引継文書が発生し,それを収納する場所が必要になります。また,職員にいよいよ「AKF」の導入が始まることを自覚させるためにも,整理のされていない書庫がある場合には,その書庫の整理を行うことが望まれます。

以下,書庫を整理する際のポイントを,

  1. 書庫の広さや収納能力の調査
  2. 書庫の管理状況の調査
  3. 書庫の整理
  4. スケジュールの組み方
  5. 各課への協力要請

の順に説明します。

なお,「書庫整理の流れ」と,各課通知用「書庫の整理要領」のサンプルを付けておきますので,参考にしてください。

1. 書庫の広さと収納能力の調査

まず,実際に書庫として使えるスペースがどのくらいあるのか調べておきます。必ずしも1か所とは限らず,庁舎の地下や別棟に書庫を持っていることが多いかと思います。それらの書庫の広さがどのくらいか文書主管課で把握しておきます。

次に,書庫内の文書収納能力を確認しておきます。文書を収納する棚が効率的に設置されているか,また,空いているスペースを利用して棚を用意すれば,収納能力がどれくらい増えるかも調べておきます。文書を収納する棚を置くスペースが残っていれば,「AKF」の導入時に不要となる保管庫や中量ラックを,再利用する方法もあります。これから発生する文書のことを考えると少しでも広いスペースを確保しておく必要があります。

2. 書庫の管理状況の調査

書庫内の文書の文書名,保存期間,廃棄の時期が分かるように文書目録で管理されており,廃棄文書が定期的に処分されていれば,比較的良い状況と言えますが,通常,「AKF」導入前の書庫は,課別に保存文書の棚が分かれていたり,文書と物品が混在していたりして手のつけようもない状態であることが多いようです。

また、各課が独自に管理している書庫がないか,確認も必要です。階段下のスペースや旧庁舎など,文書主管課の把握していない場所に,文書が保存されているケースも少なくありません。

3. 書庫の整理

書庫の整理は,実際に文書を必要として保存している各課に依頼して行います。その際の手順は,次のとおりです。

  1. 各課に依頼して,まず,文書以外の物品を雑庫などに移動します。この際,雑庫自体整理されていなかったり,十分なスペースが確保されていないこともあります。
    その場合には,書庫の一部を区別して雑庫扱いにしたりしますが,不必要な物品を処分した上で移動することが大切です。
  2. 残った文書の中から廃棄してよい文書を徹底的に抜き出し,廃棄処分にします。この際,廃棄の目安ですが,「今後必要になるかもしれない」ではなく,「これまでどれくらい見たか」を基準にします。
  3. 保存すべき文書の中には,既にある程度保存期間を経過している文書があります。何年発生の何年保存の文書かによって残りの保存年数を表示します。
  4. 整理後の文書は,文書保存箱に入れて管理しますが,課ごとに棚を分けるのではなく,全庁分を集中的に,例えば保存期間別に文書を収納します。そして,リストには,「AKF」導入前ファイル基準表を使用しますが,これには保存箱の中の文書が特定できるように,文書保存箱に番号を付けておきます。
  5. 文書保存箱には,保存年数と整理番号を表示し,課名などは書かなくてもよいでしょう。なお,執務室から書庫に収納するまでの引継ぎ作業中だけは,所属不明を避けるため,箱に引継番号を記入します。

4. スケジュールの組み方

書庫の整理は,「AKF」導入前の問題ですので,早い時期に行いたいものです。スケジュールを組むに当たっては,できれば極端に暑い時期や寒い時期は職員の負担を考え,避けた方がよいようです。

複数の書庫がある場合には,書庫単位で,一気に短期間で整理する方が効率的です。書庫の整理は,各課に整理する日時を割り当てて,文書主管課の職員の立会いの下で行うようにします。

5. 各課への協力要請

事前に対象となる課の文書取扱責任者を集めて説明会を開き,書庫整理の趣旨,整理の方法を説明しておいた方が理解を得られます。この際,単に書庫の整理だけでなく,「AKF」導入の前段階であることをあらかじめ説明しておくことが必要です。

公文書管理に関するお問い合わせ

この記事に関するお問い合わせ、公文書管理・維持管理に関するお問い合わせを受け付けています。

よくある相談事例と回答例(FAQ)
無料相談 無料研修・セミナー
© 2017 ADMiC. All rights reserved.