期間と情報収集

Q5:視察先では,どのようなことを調査すればよいですか。

これからファイリングシステムを導入しようとする自治体の職員が,1回の視察でファイリングシステムに関するすべてのことを調査し,理解しようとしても,質問することが分からなかったり,何を見てくるのか,どんな資料を提供してもらえばよいのかも分からないのが普通です。

初めて視察に行ったら,新庁舎の場合でも,まず机の上・下・脇などの「文書の管理状態」を見ることです。グレードの高いファイリングシステムが定着している自治体である場合,執務環境がどのように異なるか実感できるはずです。机の上にレターケースやブックエンドを用いて文書を置いていたり,机の下にデスクアンダーラックを設けて文書を収納しているような「管理状態」では,文書管理上の根本問題である文書の私物化は解決されていません。

一般的な調査事項としては,次のようなことがあります。

  1. ファイリングシステムの導入動機
  2. 導入ステップ(どのような課を対象に,どのような段階を踏んで導入したか)
  3. 研修方法とそのテキスト
  4. 保管システム(文書の分類方法)
  5. 保管容器・用具(種類,数量)
  6. コンサルタントの氏名及びその協力度並びに契約方法
  7. 書庫の状況
  8. 保存期間の決め方
  9. 維持管理の方法
  10. 導入や維持管理に当たり問題となった点とその解決方法
  11. 予算措置(保管容器・用具,コンサルタント)の仕方

これらすべてについて,実際には1回の視察で十分な理解はできないはずです。できれば,2回か3回程度は調査に出掛けるつもりでいた方がよさそうです。

そうした場合:

1回目
ファイリングシステムを導入すると執務環境がどのように変わるか,文書の管理状況の良さを実感する。
2回目
各事務室内でどんなキャビネットをどのように配置し,キャビネット内でどのように管理しているか調査する。
3回目
キャビネット内の文書がどのように移し替えられ,引継ぎがされ書庫に収納されるのかや,キャビネット内の序列がどのようになっているのかなど,実務的な内容の調査をする。

など,回を重ねるたびに見る所が変わってくるはずです。

また,1回目は,文書主管課の職員だけで行くのも良いのですが,2回目以降は,文書管理改善委員会のような推進組織の委員,企画課や財政課の職員,モデルブロックに予定する課の文書取扱責任者など,今後,導入作業の推進に協力を求める職員も同行してもらうと効果的です。

しかし,視察先でさまざまなことを調査し,その情報と知識を得ることも大切なのですが,もっと大切なのは視察先の文書管理担当者と親しくなり,何でも相談できるような人間関係を作ることだと思います。これから,文書管理の改善導入して行く際,いろいろな障害にぶつかるでしょうが,そうしたとき適切なアドバイスをくれたり励ましてくれたりするのも,視察先の担当者であることが多いからです。

ある自治体では,導入当時の担当者が丁寧にして熱心に相談にのってくれたそうです。先方の現担当者だけでなく,視察する際は導入時の担当者に会うこと,できれば導入に際しての相談相手になってくれるよう,人間関係を作ることも大切のようです。

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