期間と情報収集

Q3:文書管理の改善に関する情報は,どのように集めればよいですか。

文書管理の改善に関する情報収集のためには,研修会に参加したり,参考図書を読んだりする方法があります。むろん,先進団体を視察することは極めて有効です。

1. 研修会

文書管理に関する研修会や情報公開制度に関する研修会の中で文書管理の改善について説明がされることは多いのですが,それだけについての研修会は,少ないようです。

研修会の中には民間の会社を対象にしたものもありますが,自治体とは保有する文書の種類が異なりますので,文書管理の基本的な考え方は民間と同じであっても,やはり,自治体の職員を対象とした研修会に参加する方が望ましいと思います。

研修会には,ファイリングキャビネットやファイル箱などを販売するオフィス家具メーカーが主催し,その会社の社員が講師となって商品の販売促進を目的とする研修会もあります。その研修会の目的を見定め,かつ,文書管理についての正しい理解が得られるかを見極める必要があります。

また,電子文書管理システムを中心とした研修会も見受けられます。実際にその方法でグレードの高いシステムを維持している自治体があるか,キチッと調べてから受講する必要があります。そうでないと,進むべき方向を誤る恐れがあります。

やはり,長続きし,崩れないシステムについての指導が受けられる研修会を選んで参加することです。

なお,文書管理に関連した研修会で,役に立つ情報や知識を得るには:

  • ア 研修会の講師から得る方法
  • イ 研修会に参加した他の自治体の職員から得る方法
  • ウ 研修会で紹介された参考図書から得る方法
  • エ 研修会で紹介された導入中又は維持管理中の自治体から,例えば視察などをして得る方法(ADMiCによる改善事例の紹介

などがあります。

研修会でのさまざまな出会いが,文書管理の改善導入に大きな力になることがあります。

2. 参考図書

ファイリングシステムに関する参考図書は結構多いのですが,その中から定本及び行政向けのものなどを幾つか取り上げてみます。

三沢仁著『五訂ファイリングシステム』(日本経営協会総合研究所 1987年)
この本は,ファイリングシステムの理解を深めるためには必読の1冊であり,いわば,ファイリングシステムのバイブルとも言える本です。
杉浦允・松村雅生・松田綱児著『情報公開と文書管理』(ぎょうせい 1997年)
情報公開の視座で文書管理をとらえ,その将来をも展望した好著です。
岩谷伸二著『情報公開と文書管理の技術―実務対応型ファイリングシステム』(信山社 2005年)
野口輝文著『OA時代のやさしいファイリングシステム―地方自治体の新しい文書管理技法―』(自治日報社 1994年)
3と4の本は,いずれも自治体出身者が,その経験に基づいて書いた行政向けの本です。
廣田傳一郎著『自治体ファイリングシステム -情報公開対応マニュアル- 』(ぎょうせい 1998年)
通称,イエローブックと呼ばれ,自治体で広く読まれてきたこの本は,自治体文書管理担当者向けに書かれた専門書で,著者が実際にやってきたことを,経験に基づいて実戦的に書いた本です。なお,この本は8市14人の職員が執筆協力をしており,総務庁で情報公開制度の責任者であった藤井昭夫氏が「推薦のことば」を寄せています。
廣田傳一郎著『自治体のための文書管理ガイドライン―情報公開対応の文書管理の存り方―』(第一法規 2001年)
この本は,情報公開法及び同施行令による国の行政機関における行政文書の個別具体的な適正管理基準を明らかにし,運用上の留意事項とそれを達成するための自治体の文書管理の改善手法について解説しています。
廣田傳一郎著『実践 新公文書管理-AKFの理論と実務-』(ぎょうせい 2010年)
公文書管理法のモデルになった「AKF」(「行政ナレッジ・ファイリング」)の理論と実務を,丁寧に分かりやすく解説しています。具体的には,自治体における公文書管理構築のノウハウを,文書管理の基礎知識から,文書管理改善導入計画の策定,「AKF」の導入及び維持管理・自主管理手順等について,Q&A形式で開陳しており,自治体の文書管理担当者にすぐに役立つ実践的な内容が網羅されています。なお,この本は,駿河台大学大学院行政文書管理コースの修了生及び行政文書管理アカデミーの修了生が執筆協力しており,元中央大学大学院教授で総務事務次官であった[増島俊之先生が推薦の言葉](http://www.bunsho-academy.jp/overview/recommendation01.html)を寄せています。

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